調教タイム基準値の実践活用法

基準タイムを用意してしまうと、どうしても「この馬は基準タイムより○秒も速い!」などと走破タイムばかりを気にしてしまいがちです。しかし、ただ単に調教タイムと基準タイムを比べて、「4Fが51秒だから基準タイムより速い、調子いいんだ!」と勘違いしてはダメです。

このページでは、調教タイムの基準値を徹底分析で掲載した基準タイムを、どう予想に活かすか?という実践での活用法をお伝えします。

0コンマ何秒の差まで意識しない

繰り返しになりますが、数字にとらわれすぎないのコーナーでも説明したように、トラックコースの調教タイムには誤差が含まれています(坂路の調教タイムは正確です)。

ですから、0.1秒や0.2秒程度の差まで細かくチェックしなくて大丈夫です。

馬なりの調教タイムの見方

調教タイムの基準値を徹底分析では「一杯」に追った競走馬の基準タイムを見てきましたが、「馬なり」の場合はどう評価すればよいのでしょうか?

馬なり調教は一杯と比べて、ラスト1Fが速くなる傾向にああります。終い重視の調教が多いからです。

馬なり調教のラップタイムを見てもらえれば分かりますが、最初の3ハロンは15,6秒かかっていることも多いのです。したがって、基準タイムと比較したところで、ラスト1F以外の調教タイムはあまり参考になりません。

逆に、馬なりで4Fの調教タイムが良かっただったとしても、過信禁物です。「一杯に追えばもっと速いタイムが出るのかも・・」と期待してはいけません。なぜなら 馬なりのタイム(遅い) > 一杯のタイム(速い) という単純な図式ではないからです。

「馬なり調教」とは、騎乗者が単に「追ってない」だけで、馬が手を抜いて走っているとは限らないので注意が必要です。

それではどこに着目すればいいかというと、ラップタイムです。ラップタイムとは、各ハロンごとのタイム差を計算したものです。

馬なり調教で重要なのは「騎乗者との意思疎通が出来ているか」であって、タイムの速さではありません。この意思疎通が図れているかをチェックするためには、ラップタイムが最適なのです。

ラップタイムの調教評価は、ラップタイムの見方のページをご覧下さい。

重要なポイントは、走破タイムと上がりタイムのバランス

例えば、陸上100m走のレースを思い浮かべて下さい。スタートが速い選手や、後半伸びてくる選手など、さまざまです。その中でスタートも速くて後半も伸びる選手は、もう最強ですよね。

これは競馬の調教も同じです。スタートが速く後半も伸びる調教が理想的です。基準タイムで言うと、5Fや4Fと、ラスト1Fも基準タイム以下で走っている調教が望ましい姿です。

逆にあぶなっかしいのは、5Fや4Fは速いけどラスト1Fが遅い調教だった馬です。先ほどの陸上の例でいうと、スタートから速くてゴールは1着だったけど、ゴール直前は抜かれそうだった、、、というパターンです。距離が伸びたら負けそうですね。

実際のレースでは、少なくとも調教より長い距離を走るわけですから、たかだか調教で5F(1000m)を一杯に追ったくらいでラスト1Fがバテバテでは、レースではどうなるのか心配です。

基準タイムと比較するときは必ず、長い距離のタイム(4~6F)とラスト1Fのタイムをチェックするようにして下さい。

大きく分けると4つの調教パターンに分かれる

調教内容を大きく4つのパターンに分けると、このようになります。

 (A) 走破タイムも速くて上がりも速い
 (B) 走破タイムは速いが上がりは遅い
 (C) 走破タイムは遅いが上がりは速い
 (D) 走破タイムも遅くて上がりも遅い

(A)のパターンはもっとも理想的な調教です。これに加えてラップタイムもチェックするとなお良いです。ラップタイムの見方はラップタイムの見方のページを参考にして下さい。一杯に追って(A)のパターンになった馬は、絶好調と判断して良いでしょう。

(B)パターンはちょっと危険なニオイがします。騎乗者との折り合いがついてない可能性があります。しかしトラック調教などで「スタミナをつけるためにとにかく追い通す」というときは、上がりはバテバテになることが多いです。この場合は予定通りの調教と判断しましょう。

(C)パターンは、一番良く見かける調教パターンです。特に馬なり調教のときはほとんどこのパターンになります。最初はゆっくり入るので、どうしても調教タイムは基準より遅くなりがちです。この場合は、3Fのタイムや1Fのタイムを見て下さい。

(D)のパターンはあまり良い調教とは言えません。まして一杯や強目で追っていたとしたら、なおさらです。こういう馬が人気のときは買わない方が良いでしょう。
逆に、馬なりでこのパターンだった場合は、一概に「悪い調教」とは言えません。こういうときは正直、調教タイムから得られるものはあまりありません。

調子が良ければレースで勝てるのか?

結論から言います。勝率は高まるが、勝てるとは限らないです。
レースで勝てるのはたった1頭です。もし出走馬の全員が絶好調だったとしても、勝てるのはたった一頭だけなので、勝率は高くなるけれども勝てるかどうかはまた別問題、なのです。

基本的にレースの勝ち負けに大きく影響するのが「競走馬としての基本的能力」です。
そもそも強くなければ勝つことはできません。

次に、「レースの展開と自身の位置取り」が大きく影響します。距離適性よりもレースのペースが重要です。
最近の中長距離戦はスローペースになることが多いので、多少距離適性がなくても折り合いさえつけることができれば、長い距離でも好走することが多いです。

その後くらいに、馬場適性、距離適性、コース適性、調子、騎手、出走ステップ、、、といった要素が重要になってきます。

あくまで調教・調子はサブ要因にしかすぎません。調教”だけ”で勝つことは難しいのです。

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