競馬 調教タイムの基準値を徹底分析

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調教タイムの基準は、単に調教タイムの平均値をとっても、基準となるべき調教タイムにはなりません。なぜなら、追い切りには「15-15」と呼ばれるような軽い調教から、目一杯に追う調教まで、さまざまな調教があるからです。

そこで、各調教コースにおける調教タイムの基準を算出するのに、下記の条件を満たすものだけを抽出し、基準タイムを算出しました。(2020年7月8日更新)

●追い切りの強さは「一杯」または「強目」のみ
●1600万下~オープンクラスの調教タイム(ただし2歳は除く)
●対象データは 2019年7月~2020年6月の1年間

統計を取ってみると、「馬なり」の調教と「一杯」の調教数を比べると馬なりの方が数が多いことが分かりました。そのため、すべての調教の平均値を基準値としてしまうと、ずいぶん遅い基準タイムが出来てしまいます。

さらに、全クラスの調教タイムをもとに基準タイムを作ろうとすると、数の多い「未勝利馬」の遅いタイムに引っ張られる形で、遅い基準タイムになってしまいます。ですから、3勝クラス(1600万円以下)以上のクラスに絞って計算しました。(みんなが見たいのは、オープン馬の調教でしょう。)

目的の基準タイムがすぐに見られるよう、ここにページ内リンクを貼っておきます。

栗東 坂路の基準タイム
栗東 CWの基準タイム
栗東 P(ポリトラック)の基準タイム
栗東 Bの基準タイム
美浦 坂路の基準タイム
美浦 Wの基準タイム
美浦 P(ポリトラック)の基準タイム
美浦 Cの基準タイム
函館・札幌の調教基準タイム


調教タイム基準値の見方

基準タイムはあくまで「指標」としてお使い下さい。基準より速い調教タイム = スピードがある、調子がいい とは限りません。4Fのタイムが良くてもラスト1Fがバテバテでは、それほど期待できません。

ただ、新馬戦や未勝利戦、2歳馬がこの基準タイムより速い調教タイムを出していたときは、スピード能力に長けていると考えて良いでしょう。

調子の善し悪しを調べたい場合は、「その馬の好調時の調教タイム」と比較するのがベストです。

栗東 坂路 コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
栗東 坂路 53.5 38.8 12.6

この栗東坂路は、もっとも多く利用される調教コースです。美浦の坂路とは異なり、急な傾斜が最後までずっと続いているので、馬にはすごく負担のかかるコースになっています。

そのため、基準タイムは他のコースと比べて格段に遅いです。逆に言えば、栗東坂路で速いタイムを出せる馬は、瞬発力があっていい脚を使える能力を秘めている証拠です。

栗東 CW コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
栗東 CW 83.0 66.8 52.0 38.3 12.3

栗東のウッドチップコースは坂路より距離が長いため負荷がかかりやすく、スタミナをつけるにはもってこいの調教コースです。一杯に追って基準タイムより2秒以上速い時計(6Fで80秒台)のタイムが出たら優秀です。

栗東 P(ポリトラック)コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
栗東 P 81.6 66.0 51.1 37.7 12.0

ポリトラックの特徴は、芝コースに近い感覚で非常に速い調教タイムが出てしまうコースです。水はけがよいので馬場状態によるタイム差が小さいことも特徴です。

追えば追うほど速いタイムが出てしまうため、基準タイムは参考程度に考えて下さい。これより速くても遅くても、あまり気にしない方がいいでしょう。

栗東 B コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
栗東 B 80.9 66.2 50.8 37.0 11.6

あまり使われることのない、栗東Bコース。ダートコースなので比較的速いタイムが出ます。一杯に追ってもラスト1Fのタイムはそれほど落ちないのが特徴です。

美浦 坂路 コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
美浦 坂路 53.7 39.0 12.7

美浦の坂路は、栗東と比べて特徴が全く違います。最後の50mは急勾配ですが、栗東と比べて全体的に高低差があまりないので、栗東坂路ほどの負荷がかかりません

現在美浦トレーニングセンターの坂路コースは改修工事中で、2022年に完成予定です。坂路の調教効果を高めるためにコース前半を最大15メートルも掘り下げます。コースの長さや主勾配は変わらないものの、これによって高低差は18メートルから33メートルと倍近くになります。

そうすると負荷もかかるでしょうから、より良い調教コースに生まれ変わりそうですね。

美浦 W コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
美浦 W 83.5 67.5 52.5 38.8 12.6

美浦のウッドチップコースは2019年秋に改修され、それまでの1周約1600メートルのBコースから1周2000メートルのDコースに移設されました。コースが広くなりその分スピードも出るようになっています。そして新コースでは、左右両回りで使えるようになったのが大きなポイントです。

5Fを基準タイムより3秒以上速い時計を出した馬は、スピードもスタミナもあると考えて良いです。それでいてラスト1Fも11秒台を出せるようであれば最高ですね。

美浦 P(ポリトラック)コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
美浦 P 82.4 66.6 51.8 37.9 11.9

栗東のポリトラック同様、基準タイムは他のコースと比べて速くなっています。追えば速いタイムが出てしまうため、5Fが62秒台になる馬も良く見かけます。

調子の善し悪しに関係なく速い調教タイムが出てしまうので、タイムだけをみて「調子がいい!」と早合点しないように気をつけましょう。

美浦 C コースの 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
美浦 C 66.8 51.5 37.6 12.6

美浦トレーニングセンターは坂路などメインの調教コースが南馬場にあるのに対し、Cコースは北馬場にあります。「美北」と表記されることもあるかもしれません。

ダートコースなので、ウッドチップコースよりも少し速いタイムが出るようです。

番外編 函館・札幌の 調教タイム基準値

場所 6F 5F 4F 3F 1F
函館 W 68.3 53.0 39.0 12.7
函館 ダ 80.8 65.0 50.8 37.5 12.2
札幌 ダ 79.8 67.3 52.2 38.4 12.3

おまけで、函館競馬場と札幌競馬場の調教タイム基準値を紹介します。函館競馬場には唯一、ウッドチップコースがあるんです。(もちろん調教用ですよ) 母数も多くないのであくまで参考程度にして下さい。

 

他のクラスの調教基準タイムを知りたい

これまでオープンクラスの馬の調教タイム基準値を見てきましたが、オープン以外の馬の調教タイムは、どう評価すればよいのでしょうか?当然ながら、新馬未勝利の基準タイムは遅く、クラスが上がるほど速くなり、G1に出走する馬の調教タイムが一番速くなります。

しかし、新馬未勝利の馬と、オープン馬の4Fタイムを比較しても、1秒くらいしか違っていません。ラスト1Fも0.3~0.4秒程度の差です。500万下や1000万下クラスであれば、0.数秒の差でしかありません。

ですから、ほんの少しだけ緩く見てあげれば十分です。

調教タイムというものは、基本的に追えば追うほど速いタイムを出すことが可能です(特にポリトラックやダートコース)。例えば2歳馬などは、鍛える意味でも目一杯追っていることが多いので、自然と調教タイムも速くなることが多いです。「2歳馬なのにこんな速いタイムが出ている!」とぬか喜びは禁物です。

速いタイムだな、と思ったときはラスト1Fも見て下さい。ラスト1Fも基準タイムより速ければ、かなり良い調教だったと言えるでしょう。

とても重要!数字にとらわれすぎない。

今までさんざんタイムを紹介しておいて、何言っているの?と思われるかもしれませんが、これはとても重要なことです。

実は、競馬のコースと同じように調教コースも日によって速くなったり遅くなったりすることを知っていますか?

ダートコースが重馬場になるとレースのタイムが速くなるのと同じで、調教コースも天候や湿度、ウッドチップの入れ替え等の要因によって調教基準タイムが変わるのです。しかも驚くべきことに、0コンマ数秒ではなく1秒近く変わることも多々あります。

調教コースの日ごとの平均タイムを実際に計算してみたのでご覧ください。

2016年4月 栗東坂路を一杯に追った馬の調教タイム
調教日 4/6 4/13 4/20 4/27
平均タイム 53.7 秒 54.9 秒 55.1 秒 54.4 秒
全平均との差 -0.8 +0.4 秒 +0.6 -0.1 秒
※競走馬能力を一定にするため、500万下条件の馬だけを対象

たった1ヶ月の間なのに、毎週かなりのバラつきがあることが分かりますね。
速い日と遅い日の平均タイム差は、最大で1.4秒もあります。

その馬にとっての“調教の黄金パターン”を見つけよう

つまり、ただ単にその日の調教タイムを見ただけでは「その調教タイムが良いのか?」までは分からない、ということです。

その日の調教馬場がいつもの比べて速かったのか?遅かったのか?どれくらい違っていたのか?まで考慮して、はじめて調子の良し悪しが分かるのです。

また、競走馬によっては「絶好調でもあまり速いタイムは出ない」という馬もいます。
馬の状態を見極めるためには調教タイムの数値だけにとらわれず、「その馬にとって絶好調の調教パターン」を知ることが大切です。

そこで私が開発したのが、調子の良い・悪いが誰でも簡単に分かる調教分析サービス」です。過去10年間 42万件もの膨大な調教データをもとに、統計学を駆使して好走した馬たちの調教パターンを分析し、高確率で好走する『調教の黄金パターン』をみつけて調教を評価したものです。
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